……!?えっ!……今、…もしかして…キス、したの?

うそ…いや、…嫌だ。なんで?

ねぇ、颯!

頭が真っ白になる。目から自然と熱いものが溢れてきて、視界がくらくらして、たっていられない。

あたしはその場にしゃがみこんだ。


キーンコーンかーんコーン…

お昼休みが終わった。こんな顔で教室に帰れないよ。それに、思い出すだけでまた泣いちゃいそうになる。

午後の授業は人生初のサボりだ。先生、お母さん、ごめんなさい。

颯と河村先輩がキスしてた。その光景が目に焼き付いて離れない。

あたし、どうしたらいいのかな?

やっぱりあたしと颯は不釣り合いなんだ。

「実結!こんなとこでなにしてんだよ?授業始まってんぞ。」

「あ、疾風君。なんで…」

「担任に見てこいって言われて。」

先生がそんなこと言うわけない。これは疾風君がついた優しいうそだ。

「ありがとう。でももう大丈夫だよ!あたしはもう少ししたら授業にいくから、疾風君は戻って!」

涙のあとをばれないようにごしごしこする。

「泣いてたの?」

「泣いてないよ!大丈夫だから…っ…」

無理矢理笑おうとしたけど、疾風君の優しさに新しい涙が目尻に押し寄せる。