一応に言いたい事を言い終えた皆は魂の抜けてしまったかのような私を置き去りに、先程の失言をネタにして盛り上がるつもりらしい。

「錦野が大胆発言するからびっくりしたよなぁー」

「誘いかけるにしても皆の前とか”どんだけ場数踏んでんだよ”って思った……」

「俺ならいつでも、何処でもスタンバイOKだよ!」

「「「アハハハーーー」」」

ネタにしている皆には悪気はないのかも知れないけど、私には正直笑う余裕など微塵も残っていない。

場数も何も、21歳になった今現在…全くもって男性経験などありませんが?

昨日悠斗君を自宅に招いた時に『もしかしたらそんな雰囲気になるかも…』そう考えなかった訳じゃない。

『付き合って3ヶ月で未経験なのは遅い方なのかな?』

そんな思いもあって、今回の失恋は本当にいろんな意味で女としての自尊心を深く傷つけられる辛い経験だったから……

「おまえたち、いい加減にしろよ!」

笑っている男性三人を一喝してその場の空気を換えたのは小岩井君だった。

「誰にだって言い間違いくらいあるだろ?

それをいつまでも冷やかすのは趣味が悪いぞ!

おまえたち彼女に謝れよ」

「「「はぁー?」」」

「謝ってください」

小岩井君は私の使った言葉を真似て、友達にグイグイと体を寄せて謝罪を強要する。

「あっ…ごめん」

「悪かったよ」

「勘弁してー……で、俺と付き合う?」

懲りない後藤君の一言に……

「あんた達に彼女いない訳がハッキリ分かったわ」

カンナちゃんが呆れ顔で三人の顔を見ながら口にしたのは、この上なく厳しい言葉。

「失敗して気まずい思いしてる娘(こ)にそれないわー。

上手くフォロー出来ないなら聞かなかった振りしてあげるのが大人ってもんでしょ?

傷口に塩とか……あんた達、当分彼女つくるの諦めなね……」