「ハハ……小岩井君もやるねー」
大神さんはヒューと口笛でも吹かんばかりに大層楽しげなご様子。
「はい。少々お灸を据えました」
「それじゃー俺も今から諸悪の根源に大いにお灸を据えるとしようかな?」
先程までご自分の事を『私』と言っていた大神さんが口調まで砕けて『俺』って言ってるし、ニヤリと笑った表情は顔立ちが整っているだけに一層怖さが増して見える。
これが自分に向けられた表情だと考えたら恐怖で体の血の気が引く感じがした。
「悟。こいちゃんが怖がってる」
男性二人のやり取りを眺めていた眞子さんが大神さんをたしなめる。
「こいちゃん。心配しないの……俺、女の子にはとーても優しいから……」
『腹黒さを前面に押し出された後にそう言われても……』
「ハハハ……」
取り敢えず笑って誤魔化す事しか思い付かない。
「まったく良く言うわよ。
20年振りに再会した時、私に毒吐き捲った人のセリフとも思えないわ」
「マーコは特別
マーコはドMでね……
だから俺の事が大好きなんだよ」
「よくも恥ずかしい事を平気で口に出来るわね。
二人が呆れてるじゃない……」