「でさ…ある日監督から言われたんだよ。お前の夢はその程度のものなのか、絶対後悔しないのか、って。俺、それで思ったんだ。やるだけやってみてもいいんじゃねぇかなって。人生長ぇんだし。って。それで吹っ切れた。あぁ。やっぱ俺上を目指してぇ、って。それで決めたんだ。俺はアメリカに行くって。」

泣いていた。私はいつのまにか泣いていた。
洸ちゃんは私が思っていたよりもずっと悩んでた。大人なんだ…って。

「ごめん…ごめん、私…グス なにも知らないのに…」
その瞬間洸ちゃんは抱きしめてくれた。私は洸ちゃんに抱きしめられるのがほんとに大好きだった。安心した。

「梨依…ごめんな。
でもお前にだけは留学の事、認めて欲しい。」
「…うん…うん。でもね?約束して欲しい事があるの。」
「なんでも言って。」
「絶対に浮気しちゃダメ…あとはちゃんと連絡はして?」
「分かった。約束な?」

「洸ちゃん…!!」
私たちは…どちらともなくキスをした。涙の…味がした。
お互いの愛を確かめ合うように何度も…。


その日、私たちはひとつになった。
その間は洸ちゃんが私の名前を何度も呼んでくれて、とても…幸せだった。