梨依side…*

ーピーンポーン
誰だろう…
ようやく涙も収まってきたときにチャイムがなった。
「はーい…」
目の前にいたひと。
愛しくて愛しくてたまらない人。
「洸…ちゃん」

「よぅ…少し話さねぇか?」
「うん…上がって」
「おう」

2人のあいだには気まずい空気が流れる。
先に口を開いたのは洸ちゃんだった。
「あの…さ。俺、ずっと言おうと思ってたけどずっと言えなかった。ほんとに悪かった。」
「…そんなの聞きたくない」
「いや、聞いてくれ。これだけは聞いてもらわなくちゃダメなんだ。」
「……」
なにも言えなかった。言いたくなかった。

「俺さ。ある日突然監督から言われたんだよ。もっと上を目指す気はないか…って。俺、小さい頃から夢だったんだよ。プロになんの。」
と洸ちゃんは笑った。

知ってる…洸ちゃんのプロの選手になりたいって気持ちは誰よりも知ってるよ…。
「でさ、俺…監督からこの話し来た時最初は断ろうと思ったんだ。」
「え…?」
「梨依と離れたくなかった。っては言うものの多分、怖かったんだ。全然知らない国、通じない言葉、人。俺そんなに大人じゃないからさ。」
「うん…」
「すっげー悩んだ。正直1人で考えんの辛かった。」
「なら…なんで私を頼ってくれないの?私じゃ頼りないかな…?」
「違う。だって言ったらお前…泣いちまうだろ…?」
「ごめん…私なにも知らなくて…」