「あれ、…亮助?」


慌てて、玄関を飛び出ると家の門の前に亮助の姿。

その姿はいつもと違う浴衣姿で。

目の前に行くと亮助はあたしを一瞬見て、目を反らした。



「祭り行くん?」

「うん、今から!」

「女と行って何が楽しいねん。」




本当にコイツは嫌みを付くのが上手い。そういう亮助はきっといつの間にかゲットした彼女と行くに違いないんだから。そんな事、浴衣着ている時点で分かる。





「だって、…そんな人いないし…」






あたしがそう言うと亮助は舌打ちをして、頭を掻いた。





「あー、もうイラつく」




そして次の瞬間、腕を奪われた。




「しゃあないから…一緒に行ったるわ」




そう言うと恥ずかしそうに俯く亮助。一緒に行きたいならそう言えばいいのに。本当に素直じゃない人。

それが何故か可愛く思えて、少し笑った。



「なっ、なに笑ってんねん」

「痛っ!」



照れ隠しに頭をペチンと叩かれて、少し痛い。だけどなんだか嬉しかった。