すぐに鈴子の寝息が聞こえ、俺はさっきよりも強く鈴子を抱きしめた。俺が男やという危機感も忘れてアホみたいに腕の中で眠る鈴子のその寝顔。頭ん中には嬉しくてしゃあなかった鈴子が歌う“あの唄”が繰り返し繰り返し流れ、そして俺はいつの間にか眠りについていた。






‐act.12‐






「…っ、ぐす」


公園で一人泣いてるのは、6歳の俺。

家の者に“坊っちゃん”と呼ばれる俺は毎日毎日英才教育漬けの毎日。そん頃の俺は回りに反抗なんて出来るはずもなく、性格は捻くれ、いつだって泣いてた。

そんな毎日が嫌で嫌でしゃあなくて、ある日一人で家を抜け出した。



「りおーけ、ってゆうの?」

「ちゃう!りょうすけ!」

「りおうくん!」

「やからちゃうゆうてるやろ…」

「あはは!じゃありーくんでいっか!」




そん時鈴子に初めて会った。

それからちょこちょこ抜け出すようになった俺。鈴子は友達が多くて勝っちゃんとか、優大とかの仲間に俺も入れてくれた。

みんなといる時間がめっちゃ俺は好きでいっつも帰り際になると“帰りたない”ゆうてみんなを困らせた。