「しかたねーお前で満足するか。」

「せやな。」


そのままグイグイと引きずられてゆくあたしの体。

…まただ。アイツのせいでアタシの人生が最悪になってきてる。


ってゆうかヤバい、このままだとヤバい。



「んー!んー!」



もがいてももがいても男の力に敵うわけがなく、既に目の前には男子トイレの扉。運悪く人は一人も辺りに見当たらない。




「んーん!んーんっ!」




封じられた声。その声で叫ぶのは何故かわからないけど、アイツの名前だった。






「その汚い手、離せや。」





その声が聞こえた途端、少しだけ、ほんの少しだけ、涙腺が緩んだ。



「あァ?」



グイっと向かされた体。視界にやっと亮が映る。途端に安心して強ばらせていた体の力が少し抜けた。




「離せゆうとるやろ」





そういいながら近付いて来て男とアタシの体を、思い切り離した。

そして亮助の腕の中に。






「こいつは、俺の。」