「好きな奴ってのは、おまえ。」







そう鈴子を指差して言った瞬間、女子の悲鳴。勝っちゃん達は顔を見合わせて“よく言った!”的な表情で笑った。


せやけど、甘いねん。






「…………………は?」






こんなんでコイツがわかる筈ないやん。






「だーかーら!冗談はいいって!本気で教えてよ!」





ほなな。勝っちゃん達も空いた口が閉まらへんくなっとる。鈍感な鈴子が気づくわけないやん。

そして誰もが唖然として静寂に包まれた中庭で、空気の読めない鈴子の声が響いた。





「誰にも言わないから!ね!教えてよ!」





誰にもいわへんって、みんな聞いとるし、ってゆうか俺ゆうたし。




「ほんま、めっちゃアホや。」





クク、と鼻で笑うと鈴子はまた頬を膨らませムキになって怒った。





「バカにしやがってー!」

「はいはい。よかったな。」

「よくない!アンタがあたしを好きっていう度どんなけの被害受けてると思うの!」

「クク、好きやで」

「ほらまた!あーもう!今日も帰り裸足で帰ることになるじゃん」




はあ、と深いため息を付いて教室に戻ってく鈴子。そんな鈴子の後ろ姿を見てまた俺は笑みを溢した。