アイツは昔から星が好きやった。輝る星を指指していつだって笑うてた。俺は昔、めっちゃ泣き虫でその癖強がりで、そんな俺と反対にアイツはめっちゃ明るくて素直。俺の口癖はアイツの名前で家を内緒で抜け出してはアイツに会いにいってた。そんな時、あの事故が起こった。そしてすぐに俺は大阪から離されたんや。アイツの泣き顔がアイツの怯える顔が、何年経っても頭から消えへんねん。ごめんな、鈴子。アイツの好きなその星にそう幾度も謝った。




‐act.09‐





「坊っちゃん、本当に行く気ですか?」


荷物を段ボールに詰めてシールを張る。行き先は、日本。大阪にあるアイツの家に。

少し荷物が入った鞄を持って部屋を出ようとすると、執事の神田がそう俺に聞いた。




「行くに決まっとるやろ」