ぼー、と窓の外を見てみるともう夕焼け空。もうすぐ夏の夕焼け空。それは凄く綺麗な空。
あたしはこの季節の夕方と夜のその隙間の時間が大好きだったりする。
一番星が輝くその時間。
「きーらきーらひーかーるー」
選曲はきらきら星をチョイスして、再びベッドに倒れこんだ。
「おーそーらのほーしーよ」
目を瞑ればまだあいつの腕の中で揺れている感覚に陥った。
それが変に嫌じゃなく、心地良く思えるなんて。
痛む鼻に香った奴の匂いとか、包まれたぬくもりだとか。
見上げた時の奴の表情が、まだ瞼に焼き付いてる。
…お礼くらい、言った方がいいのかな。
「どーの花みてーもきーれーいだな」
実はあたしきらきら星最後まで知らなくて、いっつも歌うと途中でチューリップの花になる。
“まばたきしてはみんなを見てる、やろ”
「…え、」
びっくりして飛び起きる。確かに聞こえた、その声。なんだろ…小さい男の子の声だった。
はっと辺りを見回しても、小さい男の子なんていない。