「鈴子ー!覚悟しろ!」
「馬鹿め。ダイアモンド一週してきてやるよ」
「ドラマの台詞パクんなー」
さすがアタシってばお調子者。なんだかんだいって結構ノリノリらしい。ピッチャーは野球部の梅田で仲のいい一人だ。
バッドを構えると朝強打した肘と膝がズキッと傷んだ。まったく昨日からアイツのせいで生傷が絶えない。
そういえば起きた時だって、デコをあいつのデコで強打したんだった。
ん…あれ、おかしくないか?なんでアイツのデコと強打した?
覗き込むにしたって、デコじゃなく顎に当たる筈。
…………ま、まさか!
「ちょ危な!」
「きっキスぅぅぅあがッ!!!」
そう叫んだ瞬間に梅田ボールが鼻に直撃。あたしは鼻を押さえながらよろりと前のめり倒れた。
「い゙だい゙…」
はっ鼻が焼けるように痛い!痛い、痛い、痛い。やばい、これ絶対鼻もげた!
涙目になりながらも顔を上げると。
「ちょ、おまっ血!!鼻血!」
「は…はなぢ?」
慌てて掌を見るとそこは血の海。外野からはそんなあたしを見て爆笑が巻き起こった。何が笑えるんだ、このにゃろう。
てゆーか…やばい。
アタシ血には弱かったんだ。
ふらりとまたよろめいたあたしを何かが支えた次の瞬間、ふわっと体が宙に浮かんだ。