「………あっ!」


すると向かいの校舎に授業をしてる岡田先生の姿を見つけた。

思わず窓に顔を引っ付け、制服のポケットから愛用の双眼鏡を取りだし岡田先生チェック。



「はう、今日もかっこいい…」




あのクラスは確か勝っちゃん達のクラスだ。羨ましい、ぜひとも変わって欲しい。




「あんな男のどこがええの?」




ばかねアンタ、と言いながら目線は未だ岡田先生。





「そんなの全部に決まってるじゃん!岡田先生は優しくて、男らしくて、無口でクールで、パーフェクトなの!」

「彼女おったら?」

「残念でしたー!岡田先生はフリーって調査済みよ」



岡田先生はこの学校の近くで一人暮らしをしてる。女子の誰ががご飯どうしてるんですか?って聞いたら“俺、自炊好きやから”って返してるのをタイミングよく聞いたの。


「趣味は家庭菜園なんだって!もう自炊も出来て枝豆が育てれるなんて、やっぱり岡田先生って完璧!」




勝ち気にそう言って奴に振り向く。

すると奴は既にそこにいなくて。





「先生ー、榎本さんが授業中に遊んでます」

「榎本、廊下立ってろ。」





こ、こいつ…本当に悪魔!

廊下から岡田先生が見えなくなることを予想して言ったに違いない。

廊下に立つと、眩しい太陽の光があたしに笑った。

もうすぐ夏休み。あたしに逃げ場はない。





「ふふ、いいわ。復讐してやるんだから」






廊下でバケツを持って、呟くそんな独り言。