「優大、それとれ」

「相変わらずやな~亮助は。」



こんな話、みなさん信じてくれますか?

例えば昨日からうちにホームステイした悪魔が、昔大阪に住んでいてあたしの幼馴染み達と友達だったなんて。しかも親友の優大とはメル友だったなんて。そしてアタシの家に来ることを優大は知っていたなんて。




「いえ、アタシは信じません。」

「そろそろ認めた方がええんちゃう?」

「…優大の裏切り者!」




つまり、優大も奴の本性を既に知っていて昨日あたしが頭を捻って考えた計画はすべて水に流れた。

今は理科室で科学実験。教室の席も奴と隣。理科のグループも一緒。家で部屋も一緒。

机にうつぶせていると頬をつねられた。目を瞑ってたって誰がつねっているかなんてわかる。




「いたいれふ。なにするんでふか」

「や、摘みやすいもんがあるなって」

「ひね、おまふぇなんふぇ」

「なにゆうとるかわからへん」




ぎゅうううう、とあたしの頬を摘む指の力が強くなったということは完全に理解してるわけ。

はあ、とため息をついて窓の外を見つめた。