あたしは恋をしたことがない。だけどそんなあたしにだって憧れな人くらいいる。幼馴染みの優大や、幼馴染みで先輩な勝っちゃん達がキャーキャー言われているのを鼻で笑うあたしの瞳には、大人な色気を持った国語担当の岡田先生が映る。あのクールさがたまらない魅力だ。



‐act.07‐




「ハァ…ハァ、あの悪魔め。」



バーン!と思いきり開いた教室の扉。2時間目数学担当のハゲを横目で通り過ぎて優大の隣席の自分の席へ。



「遅かったやん。てか傷だらけやな」

「優大ーっ!聞いてよ!」



結局あの悪魔のせいで岡田先生の授業に間に合う事が出来なかった。


…どうしてか、って?


2ケツして坂道を下りた直後、派手にぶっ転んだ。運動神経抜群らしい奴は無傷。トロイあたしは重症。膝も擦りむけて、肘も強打して。

奴は傷を負ったあたしに心配することなく目の前を悠々と歩いて行った。

そんな怪我したあたしを近所の駄菓子屋のおばちゃんが手当てしてくれて、もう泣かんでもええよってうまい棒もくれた。


やっぱりタコ焼き味は旨かった。だけど元はといえば、全てアイツのせい。

だってアイツがあたしの脇腹を撫でたの!セクハラよ、セクハラ大魔人よ。

でね、あのね昨日もね、と息つく間なく優大に話続けるあたし。





「だから今神様にあの悪魔殺してって頼んでるの」