「オルゴール、なのかな…?」
慎重に回してみる。ギリギリと音を立てながら3回。だけれど音は鳴らなくて。
「そっか!開けるんだ!」
そう閃いて、箱を開ける。その瞬間に綺麗な音色が流れ溢れた。
「この曲…、」
ゆっくりとしたリズムに、この音色。
聞いたこと、ある。すごく懐かしい。
「…………星に、願いを」
そう、この曲の名前は「星に願いを」。間違いない。
なんだか凄く懐かしくて目を瞑って耳を澄ましてみた。
…もしかしたら、あたしが忘れている男の子ってこの“りーくん”って子なのかな。
思い出せそうで、思い出せない。
「あ、やば!」
パタパタと部屋に歩いて来る音が聞こえ、慌ててそれらを全部段ボールに戻した。
「なにサボってんねん」
だけど、どうして慌てて隠したのか、あたしにもわからなかった。