亮助が立ち上がると腰掛けていたベッドが軋んだ。
ただ、色気に充てられてくらくらとするあたしに一歩二歩ゆっくり近付いて、はっと気付いた時にはもう遅い。
「…こういうこと。」
あたしの前髪を指先でかきあげ、おでこにちゅっとキスをされた。
「なっ、なに、なっ!」
「クク、あほ」
柔らかいその感触に一気に熱が集まった。なんだ、なんなんだ!こいつ!
完全にからかわれている、その言動。だけど悔しいくらい胸がどきどきしてしまうのは、こいつの目尻の下がった笑う顔が可愛いからで。ああ、もう。騙されるもんかと誓ったすぐなのに。
イケメンって、本当にセコイ。
「ほんと…むかつく。」
真っ赤になりながらおでこを抑えるあたしを見て奴はまた意地悪く笑った。