ジリジリと蝉が騒ぐ音で目が覚めた。

多少不機嫌になりつつ、中学校とは違う、新しい制服を着る。


そう、私 永瀬梨杏は今日から華の高校生になる。


高校生という響きで胸が弾けていて、

髪の毛はゆるく巻き、スカートも膝上までおり、軽く香水をかける。

世間的に見ると、私はいわゆる

『高校デビューしてる子』


冗談じゃない、と私は鞄を手に取る。


__私は高校デビューするために
遠いこの学校を選んだのだから。


誰にも聞こえない声で、いってきますと呟き、ドアを開けた。