「わぁっ良かったぁ!ここの高校、私だけだと思ったよー!」


と、その女性が言う。
何を言ってるのだろうか。過去の私の何だろう。
私は戸惑う。

「えっと…」


おろおろしている私に彼女は

「あれ?覚えてないかな?紅音(アカネ)だよっ?ほら、中学入学したとき事件があって巻き込まれた私をかばってくれたじゃない!私、月乃ちゃんは命の恩人だと思ってるよ!」


と嬉しそうに微笑んでいた。


命の恩人?命にまでかかわる事件が入学したときにあったの?なんでそんなことまで記憶にないんだろう、と不思議でたまらない。


「あ、あぁ、紅音さん、紅音もこの高校だったのね」

なとど誤魔化すように返事を返す。


「うん!月乃ちゃん確かBクラスだったよね。私Aクラスだぁー」


なんだか悪い人ではなさそうかな、とクスツと笑う。



「じゃあ途中まで一緒に行こっか、紅音ちゃん」

紅音は笑顔でうん、と返事をした。