「まぁ、さおりは誰でもあんな感じだから、楽だろうけどな」

「そうだよね」



“俺は違うと思うけど”



そう言った言葉にどこか確信のようなものがあるような感じだったけど、それがなんなのかは何となく聞けなかった。

考えても無駄だから、敢えて考えないけど。

光太が私に話さないことは、きっと私が知らなくてもいいことなんだと思う。









北海道というから涼しいと思っていたけど、陽射しは案外鋭い。

気温も25度もあるらしい。

帽子をバスの中に忘れて来てしまった私は頭がぼんやりしてきた。

やばい。

熱中症になっちゃうかもしれない。



「さおり、ちょっとごめん」



私は隣を歩くさおりに声を掛けた。

これは本格的に具合が悪くなる前に休んだ方がいいかもしれない。



「ちょっと日陰行ってくる」

「一子大丈夫?」

「うん。三人で回って来て」



振り返った光太と坂下にヒラヒラと手を振って応えた。



「小学生のトイレじゃないんだから。一人で大丈夫だよ」



笑顔でそえ言うと、「確かに」とさおりが頷いて、二人を促して園の奥へと進んで行った。