遊園地からの帰り道。
笑里と会うのが久しぶりだったから話が弾んで、「まだ帰りたくない」そう思った。

笑里の笑った横顔が見える。
本当に可愛いと思う。笑里は名前の通り笑顔が素敵な女の子だ。

笑里の笑顔を見ながら歩いていた時だった。
突然後ろから、たくさんの人の悲鳴とすごく大きな音が聞こえた。
振り返ると歩道のはずなのに、なぜか車が走ってくる。
おそらく交差点で曲がり損ねて、歩道に乗り上げて来たのだろう。

そんなことを思っている暇もなく、『笑里が危ない』と感じた。
明らかに車は笑里のいる方に向かっている。
車が笑里にぶつかりかけた時だった。

身体に激しい痛みと衝撃音が響いた。
とっさに笑里を押しのけて自分が車にぶつかっていた。
頭がガンガンする。
もうなにが起きたのかなんかわからない。
身体が痛い。
うっすらと笑里の顔が見えた。
笑顔は跡形も無く消えて、涙に変わっていた。『笑里、笑ってよ』声に出したかったけど、声がでない。

セミの鳴き声と笑里の泣き声がだんだんと遠くなって、目の前の笑里の姿も消えていってしまった。