私の手は、振り上げて止まる。 手の変わりに、目からは熱い涙が溢れる。 「……叩かないの?」 「叩けないよ……」 花村が悪いわけじゃないもん。 ポロポロと、ただ涙だけが落ちる。 ……佐野は今頃、花純と観覧車の中で幸せそうにしてるんだろうな。 このまま、本当に花村を好きになっちゃおうか。 そしたら、みんな幸せになれるよね? 花純も、傷つかないよね? でも、それでも私が欲しいのは………。 「春田!」 佐野なんだ。