先輩が優しく声をかけてくれたが、俺の中には不満たらたらだった。

だから春田のことを忘れようと、自主練を部活終了後にやっていた。

なのに……。


「佐野……?」


声が聞こえてふと顔を上げると春田がいた。


「あれ?春田何してんの?」


なるべく平然を装う。


「えっと、忘れ物しちゃって」


赤い顔でふにゃっと笑いながら言う。

また、胸が高鳴った。