本城のことを忘れたわけじゃない。

ただ、本城以上に心に春田がいるんだ。

……こんなの、最低だけどな。


「佐野!今だ!ゴール!」


ハッとして顔を上げた。

そういえば今は練習試合中だった。

足にはいつのまにかボールがあった。

とっさにボールを蹴る。

グイッ

ボールはゴールすれすれのところで曲がり、転がっていった。


「……すいません」

「佐野ドンマイ!次次!」