「あ!いたいた!蘭ちゃんー」


駅から出て数歩したとき、本城が大きく手を振った。

途端、胸が高鳴る。

ザァッ

風が吹いて、桜が舞う。

その桜の中に、髪の長い女子が立っていた。

スラッとした手足、ぱっちりとした大きな目。


「……誰?」


数秒して、綺麗な声がした。

春田らしき人が俺を見つめる。