あの後、どれくらい時間がたったのかは分からない。

もう、チャイムなんかどうでもいい。

授業なんか受けてる場合じゃない。

それくらい、俺はアイツに酷いことした。

もうアイツはきっと俺に話しかけてくれなくなると思う。

だけど、

自分自身が止められなかった。

アイツと会って、話しをするようになってからまだそんなに長い時間たったわけではなかった。

だけど、惹かれていく自分がいた。

自分の感情を抑えきれず、キスしてしまった。

ほんと、何やってんだろ俺。

ばかじゃん。

アイツには散々バカっていいながら。

ガラガラー

「…いた」

「…ん」

そこにいたのは悠大だった。

「授業始まってるよ」

「あぁ。知ってる」

「そ。…そう言えばあの子、さっき会ったよ??なんか、泣いてたっぽいけど…」

「…」

それ以上悠大はそれに関して何も言わなかった。

「じゃあ、俺は授業に戻るね。基羅、一人にさせた方がいいっぽいから」

そう言い残して保健室を出て行った悠大。

悠大さっき、あの子泣いてたって言ってた。

悠大が言うあの子、とはアイツのことに違いない。

「…はあ…」

誰もいない保健室に俺のため息だけが響いた。