「失礼しまーす…イチぃー…居るー?」

まず向かったのは職員室。
遅刻したってことを担任に報告しなきゃいけないのがルール。
怠たるとイチの鉄拳が飛んでくる。

「ああ?おお、ちとせ。来たんか?」
「来ちゃいけないのかよ」
「そういう意味じゃないだろー」
「遅刻でーす」

間延びした声を出すと、イチはわざとらしいため息をついた。
それから笑う。

「はいはい。ったく、もうちょっとまじめに来いよー?あ、今日委員会だって事忘れてないよな?」
「委員会?」

え、俺なんか頼まれてたっけ?
記憶にない…

「…お前、バカか?」
「それ、生徒に面と向かって言っていいことかよ。バカです、ええどうせ」
「文化祭の実行委員」
「…あ」


本当に忘れてたのかよお前。
そう言ってイチはまたため息。

ちょ、ちょちょちょ待って…
それって確か。


「…誰と一緒だっけ?」
「はあ?峰島だろ…ちとせ、お前普段何考えて生きてるんだ?少し記憶力養おう?」
「…」


俺は声にならない叫びを、ため息と一緒に吐き出した。


気まずさ、MAXなんですが。