電車を降りた。
学校にこれほど行きたくないって思ったこと、今まで一度もなかったのに。

ムワッとした熱気に包まれながら、歩き出した。






途中、コンビニによってウーロン茶を買った。
ノドがカラカラだった。

干からびてるってくらいの乾燥加減で、よく我慢してたよなあってしみじみ思った。

どうしてキヨスクで買わなかったんだろう?

ホームに自販機だってあったのに。





一気に半分ほど飲んで、カバンに入れた。
数歩歩くたびに、かすかに聞こえる、ちゃぷちゃぷ、涼しげな音。

セミの声と絶妙なハーモニー。


夏だなあ。









汗だくになりながら校門に辿り着き、それが閉まっていたので飛び越えた。
校庭では女子がだるそうに走っているのが見えた。

ああ、体育やってんだ…ご苦労なこった。
こんな天気の中、よくまあ…うん、先生たちも大変だよな…。


俺、間違っても教師にはなれないな。





ってか、さっきからボーっとし過ぎだ、俺。
おかげで向こうから美佐が走って来るのに、すぐに気付かなかった。


「ちとせ!遅かったねー!!」
「っわ!!」