「ヒカリ…笑いすぎ…w
牛乳、悪くなっちゃうよ!
ほら、行こう」






哲郎がまた私に手を差し伸べた

今度は、私も、哲郎の手をかりた







「ヒカリの家は 
たしかこっち方面?」







「うん…そう。」







「だね!俺、バスに乗りならが
見てたから知ってる!
変態じゃないよ!w」





哲郎は、私の家の方面に歩きだした


少し歩道が広くなったから
哲郎の横に並んだ



哲郎は、そんな私を見て

ニコッと笑った…








「あのね…哲郎」







「なに?」








「私、哲郎のこと、
みんなのアイドルと思ってて
哲郎と、2人きりになっちゃ
いけないんじゃないかって
いつも思ってたの」










「なに?それ…w」










「だって、哲郎の周りには
哲郎のことを好きな女の子が
いつも、たくさんいるじゃない?」








「あ…、でも…
あの人達…俺が、好きな人がいること
知ってるよ!たぶん。」








「そーなの?」









「たぶん…じゃねーな
俺、言うからね!
片思いしてる女の子がいる!って。」









「ええ!
それ、知らなかった。」










「そりゃ、知らないよ…
ヒカリは!
俺はヒカリに片思いしてるんだから!w
ヒカリが知ってたら
片思いじゃなくなるよね?」











「でも、それって、ある意味すごいよね
好きな人がいてもいいから!
って感じ?あの、女の子達」









「気になるの?ヒカリ」









「そりゃ、気になるよ
哲郎は、人気者だもん。」










「うーーん、人気者は
恋しちゃいけないのかな?
1人の女の子に…てか
俺、人気者になりたくないんだけどw」










「だよね…
人気者だって人間だもん」










「この話は
あまりしたくないんだけど
ヒカリとたくさん話をしたいから 
言うよ?」










「うん。」










「ヒカリは
彼氏さんがいるだろ?」









「うーーん
中途半端な……彼氏さんだけど。」








哲郎が笑った









「でも、すごく有名だったよ
高校1年の頃から
ヒカリに彼氏さんがいること」







「うん、私も
びっくりしたもん!
噂になってるなんて知らなかった!」










「もし……
彼氏さんが、いなかったら
ヒカリだって男の子に囲まれてたかも
しれないよね?」










「まさかぁぁ!
私が!?ありえないw」










「それだよ!それ!
俺も、そんな感じ
自分が、人に囲まれるなんて
ありえないと、今でも思ってるよ」








なんとなく



哲郎の気持ちがわかる気がした…








「ねぇ、ヒカリ
その…今の俺を見てて
アイドルだと思う?」








「思わない
牛乳持ったアイドルw」









「これが、本当の俺!
アイドルの俺とどっちがいい?」










「今の哲郎がいい!絶対!」









「よかったよ…w」









「あのね…哲郎が前に
ギュッてしてくれた時から
思ってたんだけど。
哲郎といると…私…安心する…
なんでだろ…アイドルなら
安心なんてしないはずでしょ?」










「なんでなんだろう…w
それは、ヒカリにしか
わかんないんじゃないの?
俺にとっては嬉しいお言葉ですが!」






「うん… こんな感じの
私でいいのかな?
哲郎と会っちゃって」










「これ…
いきなり振られる展開?」










「違う!私がもっと
ちゃんとしないといけないの
明日また話すから」







「わかった」








遠くに、近所の友達と
立ち話をしてる

お母さんが見えた。 










「あっ!お母さんだ!
哲郎、恥ずかしいでしょ?
もう、いいよ!
送ってくれてありがとう!」









「こっち見てるよ…お母さんw
俺、挨拶だけして帰るから」








哲郎は

私のお母さんに少し小走りで

近寄って…








「こんばんはー!
哲郎です!危ないから
送ってきましたーー!」








それだけ言って
私のお母さんに頭を下げた。





お母さんも少し大きな声で








「あら!
わざわざありがとー!」







って言った…





昨日まで、悩みの種だった人が

今日は、お母さんに挨拶している
不思議な光景…







哲郎は、「はい、これ!」って
私に牛乳の入った袋を渡して








「また、明日…ね。」






って、小声で言って
駅の方に、走って戻って行った





牛乳の袋を持って帰ってきた私に

お母さんと
お母さんの友達が








「すっごい…イケメン!」



「ジャニーズみたい!」








みんな、何歳になっても
みんな同じ事を言うようだ








「あーー、本人さん
イケメンの自覚まるでないから」





牛乳の袋をお母さんに渡すと


お母さんが
私の顔を覗き込んだ。








「自覚があるイケメンは
本当のイケメンじゃないのよ?w
自覚がないからイケメンなの!」





なるほど……納得。


…………