地面に力なく倒れこむまおの身体の下に腕を差し入れそっと持ち上げた。


意識を失っている人間は重たいものだが、まおの場合は嘘のように軽い。


それに、主が意識を失ってもなお、その身体を覆い続ける透明な結界は俺とまおの僅か数ミリの間で阻む。


それがどうしようもなく焦ったくて、切なくて。


青白いまおの顔を再び見つめれば、心臓が押し潰されそうな程の後悔を覚えた。



「王子?」


「まおを連れて帰る。 まおのことは俺に任せろ。 リカエルは他の魔術師に今日は引くように言ってもらえないか」

「……わかりました。 クコ」

「っはいぃ!」



 指令を受けたクコとリカエルはどこかへと駆けていく。


 あの二人なら、ちゃんとやってくれるだろう。


 俺は、再びまおを横抱きに抱き上げると、ボルトを呼び、転送魔方陣で戦場をあとにした。