そんな……城ヶ崎が郁人くんのお兄さんだなんて。



「このちび、お前の弟? マジかぁ。あれ、俺らもしかしてお邪魔……モガッ!」


「朝桐、お前はもうしゃべるな。行くぞ」



 和久井くんに口を塞がれた朝桐くんは、日野くんに背中を押され、そのまま2人に連行されてしまった。


 あとに残された私と若葉くんの目の前では、城ヶ崎と郁人くんが、まるで矢を射るように互いを見据えている。



「2年ぶりに弟に会っても何の言葉もないか。さすがだな」


「……何が言いたい」


「相変わらずだなってこと。俺だってアンタなんかに会いたくなかったさ。けど――おふくろが死んだ。これを聞いても何とも思わないのか?」



 城ヶ崎が身じろいだ。

 でも、それだけ。