「じょ、城ヶ崎? どうしたの?」
「…………城ヶ崎?」
凝視してくる城ヶ崎。
でもその相手は私ではなく、そばに立っている郁人くんだった。
しばらくあぜんとしていた郁人くんは、やがてスッと眉根を寄せる。
「まさかアンタに会うなんてな。……兄貴」
「……郁人」
「え……?」
今の私は、ずいぶんと間抜けな顔をしているのだろうと思う。
「ちょ、ちょっと待って! 郁人くんのお兄さんって、城ヶ崎のことなの!?」
困惑する私に、郁人くんは頷かずとも肯定した。
「城ヶ崎隼斗。コイツは、親父について行った俺の兄貴だ」