「えっと、若葉くんは、こんな時間まで残ってどうしたの?」


「郁人くん来てなかったみたいだから。もう暗いし、セラちゃん1人だと危ないと思って」


「え、郁人くん来てないの?」



 しっかり者の郁人くんにしては珍しいなぁ、なんて思っていると、



「いるよ。今来た」



 声がして、校門のほうから歩いてくる栗色の髪が見えた。



「あ、郁人くん!」



 こっちだよ、と手を振った瞬間、城ヶ崎が突然振り向く。

 すごい形相……いつも怖い顔してるけど、今日は特別おっかない表情だ。