「俺さ、こんなんでも星麗(せいれい)に通ってんだよ」
「星麗って……あの名門男子校の星麗学院!?」
「らしくねーだろうけど……医者になるのが夢なんだ。子供ながらに俺を治療してくれる先生を、すごいって思ってさ。そう言ったらおふくろ、泣いて喜んだんだ。
俺より身体弱いくせに、学費は心配するなって連日働き詰めで。おふくろの力になれるようにって毎日必死になって勉強した。でも……」
そこで言葉を切り、郁人くんは唇を強く噛み締める。
「そのおふくろも……死んだ」
「……え?」
「昨日持病が悪化して……あっという間だったって、叔母さんから連絡があった」
郁人くんは視線を蒼色のたまごに落とし、そして、笑った。