午後11時、勉強机に向かっているとノックの音が聞こえた。



「郁人くん? どうぞ」



 手を止めて振り返った直後、部屋へ入ってきた郁人くんの顔の青さに飛び上がる。



「郁人くん!? 大丈夫!?」



 慌てて駆け寄る。

 近づくほどに、その蒼白さが目についた。



「……ど」


「え?」


「……セラに、話したいことがあるんだけど」


「うん……聞くわ。でもまずはリビングに行こう?」