後頭部を衝撃が襲い、眼鏡が吹っ飛んだ。


 痛む部分へと手をやる。痒い。


 硬球を投げつけられたのだとわかったのは、コロコロと足元に転がってきたそれを目にしてから。


 同時に、飛び散った破片が視界に入り、こめかみに青筋が浮かぶのがわかった。


 僕は身体の向きを変え、ポカンとしている馬鹿の元へ歩いて行く。



「ああ、あ、朝桐! お前なんてことを……!」


「え? 硬球当たったのになんで平気そうなの?」


「何してる! 早く謝れ、土下座で! でないと……!」


「はっ、そうだ! えと、悪気はなかったから許し……ってどこから取り出しやがったその竹刀」



 ゴチャゴチャ抜かしているようだが、ヤツに言いたいことはたったひとつ。



「朝桐、貴様…………今すぐそこに直れっ!」



 ――今日の僕は、非常に機嫌が悪い。