「使うかどうかの判断はお前に任せる。だが使ったほうがお前のためになるだろう」


「え、なんで?」



 聞き返して後悔した。

 雅宏さんが僕の顔をじーっと覗き込んでいたからだ。

 こういうときの彼は、大抵よろしくないことを考えている。



「なぁ聡士、生命の神秘は、万物において最も尊ぶべきものだ。誰もが必ず美点を持って生まれてくると、俺は考えている」


「うん……?」


「宝の持ち腐れほど無駄なものはない。――お前のその宝、有効に活用してみろ」



 いまいち意図が掴めず首を傾げる僕に、雅宏さんはニヤリと笑った。