「うふふ、これ以上怒らせたら怖いものね」
いつもと違う仕草に不審を覚えると、化け猫はふと思い出したように続ける。
「そうそう隼斗くん、新しい家族、ほしい? あ、もちろんあたし以外の話ね」
「なっ……ふざけんのも大概にしろよ!」
「隼斗くんは反対、っと。わかったわ。じゃあお父様に言っておくわねー」
イラつくしかない能天気な笑みを残して、化け猫は去って行く。
「……もう勝手にしろ」
アイツと化け猫のことを考えるくらいなら、無駄な時間と気力と体力を消費したと後悔するほうがまだマシだと、ため息を漏らした。