廊下を歩いていたときだ。

 突然、背筋を寒気が襲う。

 気づいたときには豪快なくしゃみが一発。



「……くそ……面倒くせぇ」



 疼く鼻を押さえながら、これだから季節の変わり目はごめんなんだと、やつあたりまがいのことを思う。



「あっれー隼斗(はやと)くん、もしかして風邪~?」



 背後から聞こえてきた艶のある声に、条件反射で頬が引きつった。



「安心して? 未来のお母さんが優しく看病してあ・げ・る」


「冗談じゃねぇ!」


「もう、照れちゃって!」



 そっぽを向くが先回りされ、妖艶な女が姿を現す。

 何度も思うが猫みたいな女だ。

 ただし化け猫。