私たちは家から近い公園にやって来た。

 若葉くんと出会ったあの場所だ。

 休日だし、親子連れもいていつもより賑やか。



「郁人くん、こっちこっち!」



 私はトートバッグを近くのベンチに下ろすと、人の少ない場所まで大きく手を振りながら郁人くんを呼んだ。

 呆れ果てたように歩いてくる彼へ、にっこり笑ってあるものを差し出す。



「はい!」


「何、これ」


「見てわからない?」


「……グローブ?」


「そ、グローブ。子供のときにお父さんとキャッチボールして遊んでてね。久々にやりたくなって」


「はぁ? やだよ。なんで俺がそんなことしなきゃいけないわけ?」



 わけわかんねー、と首を振る郁人くんに、満面の笑み。