――風が吹き抜ける。 それを肌に感じながら、まぶたの裏の彼女を見つめる。 「ありがとう。彩子さん……」 ちいさく呟き、瞳を開く。 見上げた空は、真っ青だった。 「私も、愛しています」 微笑みと共に、蒼天を映した雫が一粒、零れ落ちた。 【終】