「どこに行くんだ?」


「天気もいいし久々のお休みだから、ちょっと散歩。お昼ご飯までには戻ってくるよ。郁人くんに怒られてしまうからね」


「おふくろがいなくなって、アイツが母親化してきたよな」


「もともと手先の器用な子だからねぇ。いいお嫁に行けるよ」


「親父、それぜってー郁人の前で言うなよ」


「わかってる。それじゃあ行ってきます」



 くすっと笑い、静かなその部屋を後にした。