「郁人、徹夜?」
「ああ。何でも宣戦布告をしてきたそうだよ」
「は? 誰に?」
「さあね? とりあえず、真っ向対決に必要不可欠な徹夜なんだって」
「頑張るのはいいけどさ、迷惑被るこっちの身にもなってほしい」
「それは私からもちゃんと言っておくよ」
部屋を出て行こうとすると、呼び留められた。
「アンタも徹夜だったんじゃないのか? 郁人からもらったんだろ、手紙」
「確かにもらったけど……それがどうして徹夜と関係が?」
「アンタのことだ、読んでるうちに涙腺崩壊して、一晩中泣き通しだった可能性がおおいにある。現に目が赤い」
「涙もろいのは、寝不足と並んで医者につきものの不治の病でね」
「絶対嘘に決まってる」
きっぱり否定するものの、隼斗くんはそれ以上掘り下げようとはしない。