「また会えます」



 風と共に、彼女が振り向く。



「僕は、あなたの病気を治すために消化器科で学んできます。

 絶対に病と対抗できるだけの実力を備えて戻ってきますから、そんなに心配しないでください?」



 明るく笑いかけたつもりだったのだが、彼女が寂しそうに眉を下げる。



「行ってからもじゃ、ダメなんですか? 研修に行く病院はここから近いんですよね。

 だったら、行ってからも会えないんですか? 私、できるだけ真之さんと一緒にいたいんです」


「彩子さん……」



 僕は、そっと笑いかける。



「そうですね。行ってからも会いましょうね。あなたの体調がよければ」


「……本当ですか? 私はいつも元気です! だから毎日会いましょうね!」


「毎日ですか……それは過密スケジュールですね」


「あら、真之さんはお嫌なんですか?」


「そんなことはありません。ただ……」



 ここでお茶を濁すべきではなかったと、眉間にしわを寄せる彼女を見て気づく。