「初めて見ました。コレ……」
「……お守りなんです」
「お守り?」
「願いをかけて大事に持っていると、きっと叶うっていうお守りです」
「それなら彩子さんが持っていたほうがいいんじゃないですか? あなたが手に入れたものなのでしょう?」
「いいんです! 真之さんが持っていてください! せっかく内定をもらったんでしょ? その励みにしてくださいよ!」
差し出したたまごを押し戻されて、苦笑い。
「ははは、知られてしまいましたか」
「『知られてしまいましたか』ってどういうことですか? 念願の消化器科に配属されるんですよね。嬉しいことじゃないですか!
……確かに、会えなくなるのは寂しいですけど」
「ふふっ」
「何がおかしいんですか!?」
「いえ」
もごもご呟いたり、怒ったりする彼女がとてもおかしくて。
とても、愛おしかった。