「たまご……ですか」
「ええ、たまごです。……そんなに不可解そうな顔しなくてもいいじゃないですか!」
「でも寝込みを叩き起こされて外に連れ出されたと思ったら、コレをいきなり渡されたんですよ。驚きもします」
「叩き起こしたなんて人聞きが悪いです。真之さんがまた窓を開けて寝ているから、カルテが飛んでしまうと思っただけですよ。
徹夜は仕方ないですけれど、ぜひ加減を知ってくださいね」
「……お世話をかけます」
「もう、気分転換の散歩なんですから、もっとのびのびしてください」
彼女はそう言うが、これでも充分のびのびしていたつもりだ。
不可解なものをまじまじと眺めてみたり……
そうすると彼女のご機嫌を損ねてしまうと、今しがた気づいたのだが。
持っているソレを頭上にかざす。
この空を映すように澄み切った蒼色のソレは、たまごの形をした不思議なモノ。