「……君と彩子たちを引き裂いてしまったのは、紛れもなくわしたちだ」


「許されることではないとわかっています。どんなに謝っても、あの子がもう戻ってこないことも……」


「……お義父さん、お義母さん。もう、いいじゃありませんか」



 八神さんは膝をつき、2人の節くれだった手をそっと取る。



「もう……いいんです。私たち親子はこうやって再会することができましたから。彩子さんも天国で私たちを見守ってくれています」


「……真之くん……」



 涙を浮かべて振り返ったおじいさんとおばあさんに、隼斗と郁人くんは小さく、でもしっかりと頷いて返した。



「隼斗……郁人……」



 ついにおばあさんが顔を覆う。


 その肩を抱きながら、おじいさんも身体を震わせる。



 ――静かな満月の夜、ひとつ、またひとつと雫が零れた。



 けれど悲しみを呼ぶものではない。



 家族の絆を表す、温かな涙だ――