「……後悔しかなかったよ。あの男が乗り込んでくる度に、なぜあんなことをしてしまったのかと……」
悲痛な声が、静まり返った部屋の空気に溶ける。
「彩子が死に、ハツネが体調を崩した。しかし、ただの風邪だからとあの男の病院では受け入れてくれなかった……。
だが藁にも縋る思いで八神医院を訪れたわしたちを、真之くんは何も言わず優しく迎えてくれた。
その瞬間、自分の愚鈍さを責めた。あの子がどうして彼を愛したのか、やっと気づいた……」
力なく、おじいさんが俯く。
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