「でも、本当のお父さんのことは、どうして気づいたの……?」
「前に郁人の付き添いで八神医院に行ったとき、偶然おふくろの治療記録を見た。
そこには全部書かれていた。おふくろが城ヶ崎宗雄ではなく、八神真之と結婚していたこと、俺たちが血の繋がった家族であること……。
あの男が現れたとき、何食わぬ顔で出て行こうと思った。でも……おふくろは気づいた。
あの男に何をされるかわからない、絶対に行ってはいけない。そう言われたけど、祖父母のことを考えたらそんなこと言ってられなくなったんだ。
結局親父と連絡をこまめに取るという条件つきで、泣く泣く離れた……」
「……それで、あんなこと……」
2年前、隼斗が別れ際にひどいことを言っていたと聞いた。
でもそれは暴言ではなく、惜別の情に堪えないからこその言葉であったのだ。