「いいえ。……私は、あなた方が全ての罪を背負わなければならないとは、思っておりません。

 彩子さんのことを思っての縁談……だったんですよね。駆け出しの研修医より、大病院の御曹司の傍に置くほうが、より高度な治療が出来るはずだと」


「でも……それは大きな間違いだったわ。宗雄に家を乗っ取られた挙げ句、隼斗に守られることになるなんて……」


「宗雄さんが、2年前になって急に住もうと言ってきたのはどうしてですか?」



 思わずおばあさんに問う。答えたのは隼斗だ。



「おふくろのガンが再発したのが、ちょうどその頃だ。

 牽制してきたんだろう。俺たちが取り残されれば、親父はきっと名乗り出る。この家とまったく関係ないと知れれば、財産を手にすることができなくなるから」



 隼斗はそれに気づいて、あえて宗雄さんについて行った。


 お母さんの生家を守るために。